仮想通貨(暗号資産)も初めて世に出て10年となりますが、未だに初の仮想通貨であるビットコイン(Bitcoin)が時価総額トップ、象徴的な存在となっています。
2019年に入り、ビットコインの価格は大きく乱高下をしています。もしビットコインが乱高下の末、下降してしまうと他の仮想通貨にもマイナスの影響を及ぼすでしょう。
今回は2019年のビットコインの乱高下の見立てと、今後の予想を紹介します。ビットコインへの投資を考える人は、ぜひ参考にしてください。
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2019年のビットコイン(Bitcoin)の乱高下はなぜ起きた?
2017年末から続いた「仮想通貨(暗号資産)バブル」が2018年初頭に破裂しました。一時期200万円台にまで達したビットコイン(Bitcoin)相場は年間を通じて下落が続き、最も安いときには30万円台にまで落ちました。
2019年相場も当初は2018年の流れから横ばい、ないし下落が続いていましたが、4月に入ると長い下降トレンドからついに上昇へ転じ始めます。この上昇トレンドは6月末まで続き、最も高いときには140万円台を記録しています。
しかし7月に入るとビットコインの価格は停滞を始めました。7月半ばには100万円を割ることもあり、8月末には一気に急落しました。
ビットコイン相場は他の金融商品と違い、価格の変化を抑制する仕組みは整備されていません。そのため投資家の行動がダイレクトに価格へ反映されます。
たとえば2018年のビットコイン相場の下落には、Coincheckのハッキング被害が理由にあります。特に仮想通貨の投資を始めて間もない人がセキュリティ面を危惧し、大量に売り決済をしたことで価格が暴落しました。
2019年の乱高下も4月から6月の上昇トレンドと8月の下降に分け、ニュースなどと照らし合わせることで乱高下の原因を推測することができます。
2019年4月からの上昇トレンドの原因とは
長い下降トレンドから上昇へ転じたきっかけは、仮想通貨(暗号資産)への期待感が高まったことにあります。
4月1日にはIT大手の楽天が買収した仮想通貨取引所「みんなのビットコイン」が新しいサービスを開始しました。元々みんなのビットコインは金融庁から認可を受けていない「みなし事業所」でしたが改めて金融庁への登録を済ませています。
4月13日には同じくIT大手のヤフーが子会社であるZコーポレーションを通してビットアルゴ取引所東京へ資本参加し、仮想通貨事業へ参加しました。
楽天やヤフーは既にIT事業で実績があり、知名度も高い企業です。そんな企業で仮想通貨事業へ参加することで世間的なイメージが上がり、積極的に買われるようになって価格が上昇へ転じたと考えられます。
Facebook社の発表した独自の仮想通貨「Libra」も価格の上昇を後押ししたでしょう。
5月10日に中国がアメリカからの輸入品に対する追加の関税を発表したことに端を発する、米中の貿易戦争によって米国株が大幅に値を下げたこともビットコイン(Bitcoin)の価格を後押ししています。
中国の投資家などは米国株の値下がりを受け、国際関係に左右されない安定資産としてビットコインに目をつけて投資を進めました。ビットコインが価値の保存手段、つまり金積立と同じような役割を果たしているのです。
ほかにも長い低迷相場によって売りからスタートできるビットコインFXの需要が高まり、取引量が増えたこと、2020年6月から2021年にかけて訪れる、ビットコインのマイニング報酬の半減期も上昇トレンドの原因となっています。
2019年8月末の下降の原因とは
8月29日、ビットコイン(Bitcoin)を始め、イーサリアムやリップルなど主要な仮想通貨(暗号資産)が急激に下降しました。それ以前からやや下降気味でしたが、相場自体は110万円台を推移していました。ですが8月29日の下降では102万円台にまで落ちています。
4月からの上昇トレンドは原因が数多く推測できる一方、この急落は未だに原因が定かではありません。一説には9月23日にビットコイン先物取引所Bakktが取引を開始することが影響していると言われています。
2018年初めの仮想通貨バブルの破裂にはビットコイン先物が関与していると考えられています。Bakktも2018年と同様に価格の急落を招く可能性があると考えた投資家が先んじて売り始めた結果、市場が暴落したということです。
また実はビットコインにとって8月は「最悪の月」と言われ、過去のデータからも8月にたびたび大幅な下降を示していました。
2019年は2018年よりも下降幅を食い止めることができましたが、29日の急落により、結果として今年もまた7月から大きなマイナスを記録することとなってしまいました。
ビットコイン(Bitcoin)の今後はどうなる
2019年のビットコイン(Bitcoin)相場は多くの事情が絡み合って、乱高下の様相を呈しています。そこで気になるのが今後相場がどう値動きをするかでしょう。
ビットコインの今後には賛否両論ありますが、おおむね前向きなのではないかと考えられています。ここではなぜビットコイン相場が前向きなのかを紹介します。
ビットコイン(Bitcoin)の用途が広がっている
そもそもビットコインは新たな国際送金システムの構築と、世界共通の通貨としての流通を目的に開発されました。
2019年に入り、単なる投機対象としてではなく、本来の用途としてのビットコインに注目が集まっています。
世界にはおよそ17億人もの人が銀行口座を作れず、既存の金融サービスを享受できていないと言われています。ただその中でも多くの人がスマホは持っているため、ビットコインの取引は可能です。
国際連合は早期から寄付の手段としての仮想通貨に着目しており、仮想通貨に明るいボランティアを募集していました。2018年9月にはユニセフ・フランスでビットコインやイーサリアムなど9種類の仮想通貨で寄付の受付を開始しています。
2019年8月19日には、アメリカの資金運用企業大手フィデリティのチャリティ部門が2015年以来受け付けていた仮想通貨での募金総額が1億ドル(110億円)に到達したと発表しています。
ほかにも先に述べた米中の貿易戦争など、国際政情に不安が生じたとき、投資家は資産を分散させる先としてビットコインを選択し始めています。金に替わる選択肢となったことから、ビットコインを「デジタルゴールド」と呼ぶことがあります。
用途が広まると共に、ビットコインの新規発行枚数自体は減少しています。需要が増え、供給が減るために長期的には価格が上昇する見込みが立ちます。
仮想通貨(暗号資産)への法規制が進む
日本やアメリカなど、先進国を中心に仮想通貨(暗号資産)への法規制が進んでいる点もビットコイン(Bitcoin)の今後には明るい材料です。
スイスやマルタのようなブロックチェーン先進国では仮想通貨に対して積極的な法規制を進めています。しかしそれだけでなく、仮想通貨取引に対して最大で55%もの課税をする日本のような厳しい法規制であっても、長期的に見れば相場にはプラスに働きます。
仮想通貨投資は自由度が高い反面、投資家を保護する仕組みが働いていないため大口の機関投資家などが投資を躊躇してしまいます。多少厳しい内容でも法律で仮想通貨の定義を示すことで投資家保護の仕組みの整備が進む可能性があるため、明るい材料となるのです。
8月30日にはポルトガルの税務当局が仮想通貨の取引と決済に対して日本の消費税にあたる税金を課さないと発表しています。EUはブロックチェーンの普及を促進する国際機関を設立するなど、積極的な取り組みが目立つため今後の動向も要注目です。
またビットコインFXやビットコインのETFなど、金融商品としてビットコインへの投資方法に選択肢が出てきた点も、投資家にとってはプラスに働くでしょう。
現状の急落は「売られ過ぎ」という見方もできる
8月末のビットコイン(Bitcoin)相場の急落を見ると不安になるかもしれませんが、数多くのチャートが現状を「売られ過ぎ」であるということを示しています。
現状では価格が上がり始めた4月ごろに購入した投資家が利益を確定するために売り始めたことで価格が下がったと考えられています。今は高値で買うことのないよう静観している状態です。
2018年のように大きな下降へ転ずることはなく、90万円台で再び買い手と売り手が均衡するのではないか、と予測されています。
ビットコイン相場はニュースなどから推測するファンダメンタル分析のほかに、チャートを分析するテクニカル分析によっても影響を受けます。いずれもおろそかにせず、参考にすることが大切です。
まとめ
今回は2019年のビットコイン(Bitcoin)相場の乱高下の見立てと、ビットコイン相場の今後について紹介しました。
ビットコイン相場はニュースなどで簡単に値動きするので、予測が難しいです。ただその中で需要は確実に増しており、以前のような大暴落はなかなか迎えにくいのではないでしょうか。
ビットコインは一度暴落しても、必ず持ち直してきた歴史があります。もし投資をしようと思うなら、長期的な視野を持つといいでしょう。