先日、日本政府が20年ぶりに「令和6年(2024年度上期)」に新紙幣発行、500円硬貨の刷新を発表しました。今回は新紙幣にも軽く触れながら、新紙幣発行と仮想通貨がどのように影響しあうのかまとめていきます。
新紙幣について
導入でも書いたように元号の発表に続く形で、新紙幣の発行が発表されました。
麻生財務大臣は、記者会見で「偽造防止の観点から約20年ごとに改札を行ってきた」とし、世界最先端技術などを駆使し、偽造防止策を強化することを発表しました。紙幣に印刷される肖像については、前2回の改札時の考え方を踏襲し、明治維新以降の文化人から選出されました。
千円札の表には、ノーベル賞を受賞した細菌学者、細菌学の父である北里柴三郎の肖像が印刷されます。裏面には、江戸時代の有名な浮世絵師、葛飾北斎が描いた木版画『冨嶽(ふがく)三十六景 神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)』を初めて採用。これにより、1000円札の裏面に富士山が二紙幣連続搭載されることになります。
5千円札と1万円札の肖像には、20世紀への変わり目に日本の女子教育発展のため尽力した津田梅子、日本経済の近代化を進めた実業家の渋沢栄一がそれぞれ選ばれました。
新紙幣の紹介はこの程度にし、次からはキャッシュレス社会に焦点をおいて考えていきましょう。
日本の遅れている仮想通貨(暗号資産)とキャッシュレス社会
日本のキャッシュレス決済比率は2018年のデータだと約20%です。中国の60%、アメリカの46%と比べると日本のキャッシュレス化は遅れています。日本国内は慢性的な人手不足に陥っており、社会としてキャッシュレス化を進めて生産性を高めなくてはならない観点から、「キャッシュレス決済比率」を現在の20%から40%に倍増させる方針も打ち出しています。
電子マネーの利用が拡大しているものの、引き続き現金志向が強く、キャッシュレス化、仮想通貨(暗号資産)の運用が進展していないのが現状です。他国では私たちの想像を超え、キャッシュレス社会が形成されつつあります。
例えば、北欧のデンマークはクレジットカードやデビットカードが主な支払方法となっており、鉄道の券売機には現金の投入口がありません。そのため現金で切符を買う場合は有人窓口に並ばなければならないそうです。
中国では都市部での高いスマホ普及率を背景に、アリペイ や WeCat Payといったスマホ決済が主流となっています。物乞いの首にアプリ送金用のQRコードがぶら下げられている様子は、ネット上でも話題になりました。
最期に挙げるのは、紙幣が変わった日本と近い、高額紙幣の廃止を行ったインドの例です。現金が主流だったインドでは、2016年11月、モディ首相がブラックマネー対策として高額紙幣の廃止を宣言しました。そのままでは紙幣が紙切れに変わってしまうため、人々は両替を求めて銀行やATMに殺到しましたが、両替に必要な新札の準備が間に合わず、大混乱に陥りました。ところがこの現金不足をきっかけに電子決済が市民に広まったことで、急速に落ち着きを取り戻しました。
キャッシュレス化は犯罪防止にも役立ちます。匿名性の高い現金は利用履歴が残りません。それをいいことに脱税やマネーロンダリングなどの不正が発生している現状があります。以上のことから、世界では格段にキャッシュレス化社会が進んでいるのです。
この影響もあり、仮想通貨(暗号資産)が小売店、自動販売機などで使える日常が近づいてきているのではないでしょうか。
新紙幣発行によるキャッシュレス社会、仮想通貨(暗号資産)への影響
9日の東京株式市場は、お札識別機などの特需期待から、関連機器メーカーの株価が一時ストップ高となるなど急騰。紙幣識別機大手の日本金銭機械は前日終値より8.6%高、グローリーは7.9%高で取引を終えました。心理的な個人消費意欲の喚起に加え、ATMや自動販売機などの関連特需による1.6兆円の経済効果も期待できると言われています。
また、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、仮想通貨(暗号資産)の根幹技術のブロックチェーンを利用し、開発を進めているデジタル通貨「coin(コイン)= MUFGコイン」を2019年後半に実装する方針を固めました。消費者がスマートフォンにアプリをダウンロードすると、そのアプリだけで送金や買い物の際の代金の支払いの際にMUFGコインを使用できるようになる予定です。銀行初の仮想通貨応用モデルとして注目されています。
今年3月には、国内最大手企業19社が出資する仮想通貨交換業者ディーカレットの金融庁による認可を契機に、JR東日本が発行する電子マネーSuicaに仮想通貨をチャージできる案を検討するなど、キャッシュレス決済の促進が期待されています。
日本の遅れているキャッシュレス社会も元号の変わり目とともに一気に加速していくと予想されます。改修費用が現金決済よりもキャッシュレス決済はより安価で導入できるので、キャッシュレス決済が促進されやすいという見解も多く聞かれます。中には、新紙幣発行を機に、仮想通貨が利用できる小売店などの関連機器、自動販売機などが増えるとの予想もされています。
まとめ
ここまで、日本と海外のキャッシュレス決済についての違い、新紙幣発行、元号の発表を機に、様々な発表を行った企業などについてまとめてきました。
これからの社会に仮想通貨(暗号資産)は必要不可欠な存在になっていくのも時間の問題ではないかと思わされるニュースが続きました。これからも仮想通貨(暗号資産)の動向に注目していきましょう。