仮想通貨(暗号資産)への投資を考える人にとって、将来仮想通貨の投資価値がどうなるかというのは大きな関心事でしょう。将来的に価値がなくなるリスクの高いもの、終焉が来てしまうものに対して長期的に投資をしたいとは誰も考えません。一方将来性が高ければ、投資についても前向きになるでしょう。今回は仮想通貨の将来について紹介します。
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仮想通貨(暗号資産)市場には将来がない?終焉のシナリオとは
仮想通貨(暗号資産)の将来については、多くの有識者がそれぞれの立場や見解から是々非々を述べています。その中にはビットコインの価値が将来的にゼロ円になるというものもあります。ビットコインは最初の仮想通貨であり、仮想通貨でも象徴的な存在です。ビットコイン相場が終わりを迎えれば、他の仮想通貨市場にも大きな影響を与え、終焉に至る可能性もあります。
なのでまさかと思うかもしれませんが、確かにその可能性は否定できません。冒頭からショッキングな話ですが、そういった悲観的なビジョンを将来します。
ビットコインの価値がゼロ円になる!?
ビットコインの価値が将来的にゼロ円になるという予想をしたのは、アメリカ・カリフォルニア州のサンタクララ大学で教鞭を執るアトゥルヤ・サリン氏です。この大胆な予想のキーとなるのはマイニングコストです。
ビットコインでは「マイナー」と呼ばれる人が専門の機器を使い、膨大な電気代を支払ってマイニングをすることで取引を承認しています。マイナーはマイニングの報酬として新規に発行されたビットコインを受け取り、マイニングコストとの差額を利益にしています。
サリン氏が予測をしたのは2018年12月のことです。当時ビットコインの価格は大きく下がった状態でした。もしビットコインの価格がマイニングコストを下回った場合、マイナーはマイニングをやめてしまいます。そうなればビットコインのシステムは破綻してしまいます。元々ビットコインは裏付けがなく、投資家の信頼によって成り立っているために一気に価値が下落し、やがてゼロ円になるでしょう。
同種の予測は経済アナリストの森永卓郎氏もしています。森永氏はもしビットコインが発行上限を迎えた場合、マイナーがいなくなるためにビットコインの価値がなくなってしまうと予想しています。
ゼロ円というのは極端な予測
ビットコインの価値がゼロ円になるというサリン氏の予測は、おおよそ1年経った今見れば極端なものだったことが分かります。具体的なマイニングコストは不明ですが、2018年末の暴落を乗り越えて再び価格が上昇に転じており、当面価格がマイニングコストを下回る心配はないように思われます。
森永氏の予測も的外れとは言えませんが、ビットコインはシステム上、当面は発行枚数が上限に達することはありません。ビットコインは2019年8月2日時点で最大発行枚数の85%に達しており、残り15%は今後およそ120年かけて発行されます。私たちが生きている間はビットコインが発行上限に達することはありません。
もし今後ビットコインの価格が伸び悩み、なおかつマイニングコストが跳ね上がれば、確かに理論上ビットコインの価格がマイニングコストを上回る可能性はあります。ですがビットコインではマイニングの難易度を調整する仕組みがあり、ビットコインの価格が下がるとマイニング難易度を下げてマイニングコストを同様に下げるようになっています。実際に2018年11月、12月にはマイニング難易度が下げられました。
確かに将来ビットコインの価格が伸び悩む可能性自体は否定できませんが、少なくともマイニングコストの観点から価値が暴落する危険は考え辛いでしょう。
リップルに将来性がない?
仮想通貨(暗号資産)の中でも3番目に時価総額の高いリップルでも将来性に疑問を呈する声が出ています。リップルは「XRP Ledger」という独自の分散型台帳を採用しており、他の仮想通貨と違ってリップル社の選んだ人でしかブロックの承認を行えないようになっています。これは仮想通貨の理念に反するものであり、マイニングの魅力がないことから価格が伸び悩むと考えられています。
リップルは発行枚数も1000億XRPと非常に多いために価格が上がりにくく、発行済みのリップルも大量にリップル社が保有しており価格操作されてしまう恐れがあります。
これらの事実が危ぶまれ、リップルではいいニュースがあってもなかなか価格が上昇しにくくなっています。リップルは新しい送金ソリューションであり、投機目的ではないと言われていますが、投資家の不安を取り除かない限り今後の仮想通貨相場の中で伸び悩む可能性もあるでしょう。
仮想通貨(暗号資産)市場の将来には明るい材料が多い
先ほど仮想通貨(暗号資産)の将来性については多くの有識者が述べていると紹介しましたが、実は否定的な意見はそこまで多くありません。もちろん仮想通貨に関わる人が多いため、若干の身びいきは入っているかもしれません。ですがぞれを差し引いてもなお、仮想通貨市場の将来は明るい材料が多いのです。
まず挙げられるのがブロックチェーンの技術的な評価が進んでいる点です。2018年は仮想通貨市場全体が逆風に見舞われましたが、ブロックチェーンの他分野への応用は進みました。ブロックチェーンは従来の中央集権的なネットワークの抱えるセキュリティ面のリスクなどを克服するものとして注目されています。
イーサリアムなどでは厄介な契約を自動化するスマートコントラクトという技術が実装されており、不動産や金融など契約の多い分野で注目されています。
今後ブロックチェーンやスマートコントラクトの実用化が進めば、仮想通貨が社会インフラとしての価値を有するようになるため価格が上昇するでしょう。
また仮想通貨は長く一過性のものだと思われていたため、各国で法整備が遅れていました。しかし昨今では世界中の国で法整備が進んでいます。仮想通貨は投資家を保護する仕組みが整備されていなかったため、長く大口投資家が参入をためらってきました。そこで法規制を通して投資家を保護が進むことで更に市場に資本が流入し、価格の押し上げがが期待できます。日本でも2019年5月31日に規制強化を盛り込んだ法規制を可決するなど、法整備が着実に進んでいます。税率が最大45%と高率になっている点は課題でしょう。
更に仮想通貨の知名度が上がっている点も無視できません。2017年末の仮想通貨バブルもテレビなどで仮想通貨取引所のCMが流れ、一般家庭に仮想通貨の知名度が上がったことが一因となっています。
2019年6月にはあのFacebook社が仮想通貨リブラを発表しました。日本でも楽天やヤフーが仮想通貨交換業に参加するなど、一般知名度の高い企業が仮想通貨に携わっています。今後GAFA(Google, Amazon, Facebook, Apple)などを始めとする大手企業などが仮想通貨分野へ参入をすれば知名度が高まり、多くの人が仮想通貨を知り、投資をします。そうなれば価値はどんどん上がっていくでしょう。
まとめ
今回は仮想通貨(暗号資産)への投資を検討する人がみな気にするであろう、仮想通貨市場への将来について紹介しました。確かに仮想通貨の将来について、悲観的な見方をする人がいるのは間違いありません。ただ多くの有識者が前向きに将来性を予測しており、そのための材料も揃っています。
もちろん通貨によっては淘汰されるかもしれませんが、市場全体で言えば将来は明るいです。投資を検討する人は、何の通貨に投資をするかよく吟味して取引に臨んでください。